「バカマツタケ」はれっきとしたキノコの名称である。しかも、本家のマツタケと似た歯ごたえで、香りが高く味も美味らしい。
そのバカマツタケの完全人工栽培に成功したという朗報が届いた。研究開発をしているのは、肥料メーカーの多木化学(兵庫県加古川市)。10月4日に報道発表すると、株価が5150円から6150円(5日)に高騰。11日時点で9230円となり、株価も“バカ”みたいに振れている。
同社によると、赤松の根に生えるマツタケと比べ、コナラやミズナラ、クヌギに生えて生育範囲が広いバカマツタケに人工栽培の可能性を見込んだ。だが、ブナシメジやマイタケのように木くずや腐った木に発生するキノコと違い、マツタケやバカマツタケは植物と共生する「菌根菌」であり、生きた植物から栄養をもらいながら成長する種類で、人工栽培が難しいとされていた。
そして研究開始から6年後の今年4月、バカマツタケの原型である「子実体」が確認され、長さ9センチ、36グラムに成長。ついに完全人工栽培に成功した。マツタケよりは小さいが、天然のバカマツタケよりもやや大きい。植物との共生が必須とされていた学術を覆す研究となったことも成果は大きい。
天然バカマツタケは8月下旬から9月下旬に生えるが、完全人工栽培なら季節を問わず年中供給でき、室内環境なので虫がつかない。同社は3年後までに商業生産を目指すとか。
ちなみに、ネーミングについては思案中。マツタケに劣らない味ながら、マツタケよりも時期が少し早く、生える場所が違うという理由でバカ呼ばわりされた。でも、バカも愛嬌(あいきょう)があっていいじゃないか。庶民に愛される日が待ち遠しい。