中国を代表するECサイト「京東商城(ジンドンしょうじょう)」を運営する大手EC・小売インフラ企業の京東集団は25日、高速鉄道と自社のコールドチェーンを組み合わせることで、雲南省産のマツタケを全国各地からの注文を受けてから48時間以内に配送する取り組みを開始したと発表した。
雲南省は温暖で降水量が多く、しかも植生が豊かであるなどで、中国屈指のキノコの産地として知られる。マツタケは現地ではもともと「特別に高級なキノコ」と考えられたわけではないが、現在は中国全国で「貴重な食材」との評価が高まっている。雲南産のマツタケが重視されるようになったのは、1980年代ごろから日本人が注目したことも関係しているという。
中国では高速鉄道網が整備され始めた早い時期から、物流への利用にも力が入れられた。京東集団はすでに、高級品や時間の制約がある商品に対して、効率的なサービス実現のため高速鉄道を利用してきた。
雲南省産のマツタケについては、まず同省昆明市で高速鉄道列車の特別エリアに積み込まれ、北京、上海、広州(広東省)、武漢(湖北省)、南京(江蘇省)、成都(四川省)のいずれかに運ばれる。その後、京東の物流網を利用して、発注後48時間以内に配送を完了させるという。
京東によると、中国の消費者は生鮮食品の宅配への関心を高めつつある。2017年には、中国全国におけるオンラインによる生鮮食品の購入額が前年比59%増の約1400億元(約2兆3000億円)に達した。京東は需要に対応するため、購入可能な生鮮食品の量を300%増量し、生鮮食品の宅配網を中国300以上の都市に広げた。また18年には、北京に同社初のコールドチェーンにおける高度自動ソーティングセンターを建設し、1日当たり1万8千件の注文を仕分けすることを可能にした。
さらに、京東は小売戦略の一環として、プラットフォームでの個人への販売という領域を超え、ビジネスパートナーや高級レストランなどにもマツタケを供給していく考えだ。