後発の韓国インスタントラーメンはどのように米国人の消費者を確保したのだろうか。農心の北米地域販売総括のクリス・ロス本部長はその秘訣を「プレミアム戦略」と説明した。ロス本部長は「日清・マルちゃんなど日本のインスタントラーメンは主なターゲットが低所得層であるため、麺に(粉)スープがすべてだった。農心は高級な小麦粉に具が入ったスープも付けている」と話した。
さらに日本インスタントラーメンのカップより容量が大きいカップに多くの麺を入れ、発酵スープを利用し、量と質で日本ラーメンとは差があるというのが、農心側の説明だ。
農心アメリカ法人のシン・ドンヨプ社長は「我々はロサンゼルス工場のR&Dを通じてさまざまなスープを開発しているが、日清とマルちゃんは工場を米国現地に置いても外部から麺とスープの供給を受けてミックスするだけ」と伝えた。また「米国の若い白人も最近は韓国のように辛いラーメンを好む人が増えている」とし「米国の農心の消費層は60%が白人・ヒスパニック・黒人であり、残りがアジア人」と話した。
シン社長と本部長らは週中、毎日昼食を社内の「クリエイティブルーム」で済ませる。役職員と研究開発室の研究員が毎日、異なる材料で作った麺とスープを使って新しい味を試しながら討論する。農心の関係者は「毎日異なる味を準備するのは実務者の立場では負担かもしれないが、隔意のない討論を通じて新しいアイデアを得ようとしている」と説明した。
こうした努力のおかげで昨年8月、農心の辛ラーメンは韓国の食品では初めて米ウォルマート全4692店で販売されることになった。ウォルマートが米国全域で販売する食品はコカコーラ・ネスレ・ペプシ・ケロッグ・ハインツなど世界的な食品ブランドだけだ。農心の辛ラーメンが米国現地で認められたということだ。
韓国ラーメンの活躍は米国市場だけでない。三養食品のプルタッポックム麺は最近ユーチューブなどソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じて韓国ラーメンを世界の人々に知らせる尖兵となっている。ユーチューブでプルタッポックム麺を意味する「fire noodle」を検察すると100万個近い動画が表示される。この中には韓国人が外国人の友人と一緒にプルタッポックム麺を楽しむ映像もあるが、外国人同士で辛さに挑戦するものも半分近くある。このおかげで三養食品はこの数年間、売上高4500億ウォンのうち45%(2050億ウォン)を輸出が占める。
チン・ジョンギ三養食品企画担当常務は「輸出の85%をプルタッポックム麺シリーズが占めている」とし「韓国人にも辛いラーメンを外国人が楽しむというのが意外だった」と語った。
特定の国でよく売れる韓国インスタントラーメンもある。1986年に発売された四角形のパルド「トシラ」(=弁当)がその主人公だ。トシラはロシアで単なる1位ではなく「国民ラーメン」に成長した。市場を席巻したため、現地の人たちは「インスタントラーメン=トシラ」とイメージするほどだ。このためパルドは2002年に「トシラ」という名前の現地法人も設立し、2カ所の生産工場で8種類のトシラを生産している。昨年のロシアでの売上高は2300億ウォン(約230億円)にのぼり、パルドの韓国国内でのインスタントラーメン売上高(2200億ウォン)を超えた。
パルドのチョ・ホンチョル海外営業チーム長は「トシラは釜山(プサン)港とロシアを行き来していたロシアの船員と商人を通じてロシアに初めて伝えられた」とし「その後、現地に工場を建てた後、チキン・キノコ・エビなど現地人の好みに合う製品で絶えず現地化をしたのがロシア市場を席巻した秘訣」と述べた。