今秋の長野県産マツタケ生産量は51・2トンで、連続した統計が残る1979年以降で6番目の豊作となったことが、県林務部のまとめ(速報値)で分かった。上伊那、諏訪を含む主要産地の南信地方は平年比170%の40・4トン。県林業総合センター(塩尻市)特産部によると、秋にかけての順調な気温・地温低下に豊富な雨が加わり、長期間にわたる発生と収量増につながったという。
南信の産地はおおむね9月前半から発生が始まり、同月下旬から10月にかけてピークを迎えた。秋雨前線や台風の影響を受けた9月は、各地で平年を大きく上回る降水量を観測。「降水量だけでなく降水日数も多く、山が湿っている状態が長く保たれたこともマツタケ発生にはプラスに働いた」(特産部)とする。
マツタケは発生に向けて芽が動き出した後、地温(地中の温度)が再上昇すると打撃を受けるが、今秋はぶり返し残暑の影響がほとんどなかったと分析。10月上旬に気温の高い日が続いたものの、それまでの湿り気が地温再上昇の幅を抑えたとみている。
品質はシーズン後半にかけて良化。豊作を反映して単価は平年並みか平年より低めで推移したという。
「松茸博士」として知られる伊那市富県上新山の藤原儀兵衛さん(81)は「自分の山も大豊作だった」とし、「雨が降りすぎた。もうちょっと少なければ、品質や香りがもっと良くなった」。諏訪松茸山十きのこ組合(諏訪市)の原隆一さん(81)は「山によって差は出たが、全体的には豊作だった」としている。
県産マツタケ生産量の年平均は約30トンで、豊作は2季ぶりとなる。