津市や松阪市の山間地でこの時期だけ収穫されるキノコ「オオイチョウタケ」を広めようと、三重大の研究者らが二十三日午後六時半から、津市寿町のイタリアンレストラン「プレーゴ2」で試食会を開く。参加者を募集している。
オオイチョウタケは高さ十~三十センチの真っ白なキノコ。津市美杉地区や松阪市飯高地区のスギ林に群生し、地元では「スギタケ」と呼ばれている。食感や香りが良く、炊き込みご飯やお吸い物に使われるが、九~十月の一~二週間ほどしか採れず、数も多くないため、ほとんど市場に出回っていない。
津市のキノコ栽培会社「岩出菌学研究所」の原田栄津子さんは「食文化として根付いているのは美杉や飯高くらい。全国的にはまだまだ幻のキノコ」と話す。研究所は十年ほど前から人工栽培を進めてきたが、県内での知名度は高くない。
原田さんは遺伝子解析や効能について共同研究する三重大生物資源学部の松田陽介教授(48)とプレーゴ2のシェフ鈴木知己さん(41)と協力し、試食会を企画した。当日はオオイチョウタケのパスタやピザのほか、スイーツも用意。アミタケやコウタケなど珍しいキノコの料理もあり、キノコを使ったスパークリングワインで乾杯する。松田教授らによる研究報告もある。
松田教授は「研究が進んで生産方法が確立すれば、農村の新たな商材になるし、スギ林の保全にもつながる」と説明する。一方で、「オオイチョウタケに関しては研究だけではもったいない。おいしさを知ってほしい」と話した。試食会は定員六十人で予約が必要。参加費六千円。