日本きのこセンターグループ(鳥取市)は、通常5時間かかる干しシイタケを約15分で戻すことができる新製法を開発した。苦みや渋みも少ない上、乾燥に必要な燃料も半分以下に抑えることができるという。グループは消費回復はもちろん、生産者の意欲向上にもつなげたい考え。【園部仁史】
同グループは、風味が特段に優れる天然の「木干し」に着目。これに近い状態を人工的に作れないかと研究を進め、約2年かけて実現にこじつけた。
従来では、乾燥機の温度を45~55度に設定して約25時間かけて乾燥させる。新製法は、22~28度の低温で約20時間乾かした後、55度まで上げて約10時間乾燥させて仕上げる。設定温度を低く設定するため、燃料となる灯油の使用量は従来より3~5割減とコストも削減できる。
また、味についても新製法の干しシイタケは、苦味や渋みが抑えられ、うま味成分のグアニル酸は従来の1・5倍に増加することが分かった。
同グループはすでに特許を出願しており、全国の生産者にも作り方を指導して普及を図る。グループの直営店の「しいたけ本舗」(鳥取市)では試験販売をしていて、夏ごろからは首都圏のスーパーなどでも販売していく予定。林野庁によると、国産シイタケの流通は多くが「干し」だが、水戻しに時間がかかることや安価な外国産の流入により消費が低迷している。干しシイタケの国内生産量は1984年の約1万6000トンをピークに、2016年は約2700トンにまで激減した。
日本きのこセンターグループの菌興椎茸(しいたけ)協同組合の下田秀一・代表理事組合長は「(新製法は)干しシイタケが生き残る切り札だと思う。魅力を高めることで、生産者の意欲向上や新規就農者の増加に努めたい」と意気込んでいる。