毒キノコの警戒シーズンを迎えた長野県は9月20日から10月19日までを「きのこ中毒予防月間」として注意を呼び掛けています。キノコ採りやきのこ料理のファンが多い長野県ではこの時季、中毒を避ける注意が必須。安全なキノコをしっかり覚え、中途半端な知識や言い伝えを信じない、などの心構えが強調されています。
まれに死に至る毒キノコも
キノコ中毒防止のポイントとして、県は(1)知らないキノコは採らない、食べない、売らない、人にあげない、(2)食べられるキノコの特徴を完全に覚える、(3)誤った言い伝えや迷信を信じない ── などを挙げています。
誤った言い伝えなどとして「キノコの傘の下に付いている柄(え)が縦に裂けるキノコは食べられる」、「ナスと一緒に煮ると毒消しになる」などの例を挙げ、これら根拠のない説を信じて中毒事故を起こさないよう注意を呼び掛けています。
長野県によると、県内のキノコ食中毒は2013(平成25)年から2015年にかけて長野市、南佐久郡、大町市、安曇野市、飯山市で11人の患者が発生。原因のキノコは「クサウラベニタケ」「テングタケ」「ツキヨタケ」で、吐き気、おう吐、下痢、視覚異常、意識混濁、発汗などの症状がありました。
2016年秋には長野県北部で毒キノコの「ドクササコ」が確認され、保健所が注意を呼び掛けました。ドクササコを食べると手足の先端が激痛とともに赤くはれて、症状は1か月以上続きます。
厚労省によると、「ベニテングタケ」は食後30分ほどで下痢、おう吐などの症状が現れ、めまい、錯乱、運動失調なども生じて、まれに死亡することもあります。
「カキシメジ」はシイタケなどと間違えやすく、頭痛、おう吐、下痢、腹痛などの症状が現れます。
「ツキヨタケ」もシイタケやヒラタケと間違えやすく、下痢、おう吐などの症状のほか幻覚などを伴う場合があるとされます。回復まで1日~10日ほどかかります。
「テングタケ」はおう吐、下痢など消化器の症状のほか神経系の中毒症状、めまい、けいれんなどで、呼吸困難になる場合もあります。同じ毒キノコの「イボテングタケ」と間違えやすいが、より毒性が強いとされています(同省)。
県は「中毒だと分かったらすぐに医師の診断を受けるよう」呼びかけ、食べたものが残っていれば受診の際に持参するよう求めています。県はキノコに詳しい人を「きのこ衛生指導員」に委嘱し、正しい知識の普及などを進めています。
長野県内ではキノコ採りに夢中になるあまり山中で方角を見失って道に迷い、遭難騒ぎになることもあります。信州のキノコシーズンは食中毒防止と、遭難防止の両面の注意が求められています。