シイタケの害虫対策には杉林での栽培を――。県特産のシイタケを、「大害虫」といわれるハラアカコブカミキリから無農薬で守る研究をしてきた大分大理工学部・生態学研究室の永野昌博准教授(43)が、そんな成果を発表した。
県内であった研究者の集まりで、県農林水産研究指導センターの職員と知り合い、生産農家の要望が強い「無農薬」での害虫対策を2年かけて探ってきた。
杉と、ほだ木に使われるクヌギを並べて実験すると、カミキリはクヌギを好み、杉には集まらなかった。伐採直後、同6カ月、同18カ月のほだ木では伐採6カ月を最も好み、細い枝にも集まってきたという。
これらから、シイタケ菌をコマ打ちしたクヌギの原木を、カミキリが寄りつきにくいとみられる杉林で育て、その回りに直径2センチほどの細いクヌギの枝をわなとして置くのが効果的と結論付けた。枝打ちして捨てていた細い枝が活用でき、集まったカミキリを枝ごと焼けば駆除もしやすいという。クヌギ林で切ったほだ木を杉林に運ぶ手間はかかるが、生産性は約1割上がると試算する。
ハラアカコブカミキリは、かつて日本では対馬にだけ生息していたが、1970年代に対馬から移入したほだ木とともに大分にも入り、県全体に広がったとされる。幼虫は木の形成層やシイタケの菌糸を食べ成長する。幼虫が多くついたほだ木は生産量が半分以下に落ちることもある。
今後は研究成果を論文にまとめ、農家とも協力して野外での実証実験を行いたいという。「無農薬の害虫対策をぜひ試してみてほしい」と話している。