茨城県那珂市にある「茨城県きのこ博士館」が夏休み中の子どもらでにぎわっている。全国でも珍しい、きのこ専門の博物館で、シイタケやマイタケといった身近なものから毒きのこまで、さまざまな種類を紹介。生態や魅力を分かりやすく伝えている。
洋風の建物に入ると、きのこが生えた巨大な木のオブジェが出迎える。その周りには、レースのような菌網をまとったキヌガサタケ、色が肝臓に似たカンゾウタケなどを実物の約10倍にした模型が並ぶ。
コーナーの一つ、「博士のきのこ工場」では、シイタケの原木栽培を道具の実物も交えて紹介。虫に寄生する珍しいきのこや、サルノコシカケ、オニフスベなど80種の標本も飾っている。
同館の展示は親しみやすさが特徴だ。来館者は、あるじの「きのこ博士」を探してあちこち巡るうちに、自然ときのこの知識が身に付く。
シイタケの栽培を紹介した展示。「きのこの工場」をイメージしている
ひたちなか市から子どもと訪れた主婦の矢野倉舞さん(32)は「きのこ狩りに行きたくなった」と親子で喜んでいた。日立市の主婦、五條京子さん(66)は「孫と来る前に下見に来た。迫力があって大人でも面白い」と話した。
同館は、きのこを中心とした特用林産物の博物館として1998年に県が設けた。そのため館内には山菜、木炭、漆などの展示もある。すぐ隣には県林業技術センターの研究施設、きのこ研究館がある。
きのこの正しい知識の啓蒙(けいもう)にも力を入れる。きのこ狩りシーズンの9~11月には、きのこの専門家が常駐。来館者が持参したきのこを無料で鑑定し、名前や食べられるかどうかを助言している。昨年度は2795本の持ち込みがあった。
指定管理する県農林振興公社によると、昨年度は3万4503人が来館した。同公社の水越健夫常務は「当館は遊びながら学べるきのこの遊園地。きのこは自由研究のテーマにもお勧めですよ」と話す。