原発事故を乗り越えて、シイタケ栽培を再開した川内村の遠藤きのこ園(遠藤一夫社長)。新たに大型ハウスを建設するなど、震災前よりも規模を拡大した。特別に栽培した独自ブランドの「ひたむき椎茸(しいたけ)」も定期的に注文が入るようになった。「川内村産」をアピールし、村の復興にも貢献していく。
遠藤きのこ園は、約50年前からシイタケを栽培してきた。2011年の東京電力福島第一原発の事故で村民は避難を強いられ、遠藤さんの家族や従業員らも郡山市に避難。菌床栽培のシイタケは、置き去りにするしかなかった。
震災から半年後、菌床はすべて処分し、県外から取り寄せたおが粉で一から菌床づくりに取り組んだ。だが、その菌床から基準を超える放射性物質が検出され、再び全量廃棄に。改めて作り直した菌床でシイタケが出荷できるまで約1年半かかった。ただ、出荷できても買いたたかれ、他産地の3割安だったという。