伊豆諸島の八丈島に、新しい特産物が加わった。海から吹き上げる潮風を受けて育った「海風(うみかぜ)椎茸(しいたけ)」。肉厚でえぐみがなく、島内の子どもたちにも評判だ。きっかけは趣味のクワガタ繁殖の飼育ボトルから偶然生えていたキノコだった。
海風椎茸を栽培、出荷するのは大竜ファームの大沢竜児さん(47)。8年ほど前からクワガタの繁殖を始めた。本業は花屋。幼虫の飼育にはクヌギなどを砕いたおがくずに菌を植え込んだ菌糸ボトルを使う。このボトルの上部から覆いを破ってキノコが次々に生えてきた。しかも生育がいい。
亜熱帯の八丈島は温暖で湿度が高く、潮風がよく吹く。「島の気候はキノコ栽培に向いているのかもしれない」。そんな思いに駆られて、八丈島に適したシイタケ菌探しが始まった。試行錯誤が4年間続いた。
行きついたのは蒸気で減菌処理…