は昨年3月から、新潟~北海道で31ftクールコンテナを利用したきのこ商品の鉄道輸送を行っている。当初は輸送障害による遅延への懸念もあったが、この1年間、大きなトラブルもなく「非常に順調に稼働している」と青木隆・執行役員営業本部副本部長は話す。最も重視した鮮度保持についても「従来のトラック輸送に比べても遜色が無く、素晴らしい」と森本清・営業本部物流部長。昨年11月からは20ftクールコンテナを利用した輸送もスタートさせ、鉄道モーダルシフトがさらに拡大している。
国内まいたけ生産量の過半数を出荷
雪国まいたけでは主力商品のまいたけを中心としたきのこ商品ときのこ加工品、カット野菜などを生産、販売する。中でも、まいたけは同社売上高のほぼ半分を占めるとともに、国内生産量約5万tの過半数を賄うなど、圧倒的なシェアを誇る。きのこ類の生産工場は本社を置く新潟県南魚沼市に集中しており、同所から全国へ出荷。このほか、一部のまいたけを新潟県五泉市で、カット野菜を滋賀県竜王町の自社工場と北海道の委託先工場で生産している。
まいたけは、ビタミンDを豊富に含み、免疫力強化も見込まれるとあって、需要が拡大傾向にある。とくに同社の商品は、歯応えの良い大きな株を安定的に生産できる品質の高さが売り。3年程前には、食感が強い上に色が淡く、料理に使いやすい新品種を開発したことでさらに販売量が増え、まいたけ商品の売上高は毎年およそ1割以上の伸びを続けている。
出荷量の拡大と、エントリーユーザー向け小分け商品の強化を支えるため、今年9月には竜王町でまいたけのカッティングおよびパッケージングを行う「パッケージセンター」を開設予定。その上で、中期経営計画(17~21年度)内には西日本地域で新たな生産拠点を建設する計画にあり、まいたけへの馴染みが比較的薄い同地域への普及も狙っていく方針だ。
最も重視したのは「輸送中の鮮度維持」
同社商品は、各工場から小売店の物流センターや青果市場などへ、主にトラックで出荷される。基本的には協力運送会社の拠点を活用した幹線便と2次配送で届けられ、ボリュームの大きな直販先には直送も行う。TC利用を含めた中継拠点は北海道、東北、関東、中京、北陸、阪神、岡山、九州などに構え、全国で順次、2次配送体制への切り替えを進めている。
鉄道輸送へ移行したのは、南魚沼市の工場で生産するきのこ商品を北海道へ運ぶルート。工場で商品を積み込んだコンテナは毎日1便、南長岡駅(新潟県)から隅田川駅を経由して札幌貨物ターミナル駅へ輸送される。輸送商品は、まいたけ、えりんぎ、しめじの生きのこ3品。従来は工場からトラックで出荷し、青森港~函館港のフェリー輸送を経て、北海道エリアへ届けていた。
「きのこを美味しく食べていただくには鮮度が重要」(青木氏)として、とくに温度管理にはこだわった。きのこの保管に最適な5℃を維持するため、3温度帯管理対応の新型クールコンテナを使用。コンテナ外壁も厚く、外気温の影響を受けにくい仕様とした。さらに、GPS対応で温度状態と位置情報をリアルタイムに確認可能とし、コンテナ内にはビデオカメラも設置してJR貨物と北海道フーズ輸送が商品の状況を常時監視できる体制を整えた。
コンテナの積載量も最大化できるよう、ケースサイズに合わせて設計。外装も白色を基調に「雪国から北国へ。」をコンセプトとしたオリジナルデザインを考え、メインキャラクター「雪ちゃん」もあしらってPR効果を高めた。輸送リードタイムについても北海道側の中継拠点でのコントロールにより、大きな変更も無く輸送している。