アガリクスはブラジルのキノコです。和名はカワリハラタケ、ヒメマツタケです。アガリクスで癌が治ったという臨床例が多数報告されたことで名を知られることになりました。アガリクスの原産地のある村は長寿の村として知られ、生活習慣病や癌の罹患率が低いことで有名でした。そこで研究チームが調査をした結果、この村の人たちはアガリクスを常食していたことがわかったのです。そしてアガリクスの薬理作用が研究されるようになったのです。
キノコにはベータグルカンという成分が含まれています。ベータグルカンには免疫を賦活し活性化する働きがあります。アガリクスはキノコなので、当然このベータグルカンが含まれています。しかし普通のキノコに含まれているベータグルカンの種類が1種類か2種類なのに対し、アガリクスに含まれているベータグルカンの種類は何と6種類！この種類の豊富さがアガリクスの病気に打ち勝つ効果の秘密のようです。
白血球の一種であるマクロファージは体内の清掃屋です。このマクロファージはアメーバのように体内を移動し、死んだ細胞や細菌、ウイルスを食べて、体内の異物を排除してくれます。マクロファージは免疫機構の重要な一端を担っています。アガリクスのベータグルカンにはこのマクロファージを活性化させる働きがあることがわかっています。
またアガリクスにはビタミンDも含まれています。このビタミンDは免疫力を高めるのに重要な役割を果たすことがわかっています。ビタミンDは太陽光を浴びることで体内で生成されますが、冬は太陽光が少ないのでビタミンDの生成量が足りないことがあります。これが冬にインフルエンザが流行する原因の一つではないかと考えられているくらいです。アガリクスはビタミンDの補給にも役に立つので、ベータグルカンに加え更に免疫力を高めることができるのです。ただビタミンDを含んでいるキノコはアガリクスだけではありません。普通に食するキノコにも含まれています。
ではアガリクスには癌を治療する効果があるのでしょうか。アガリクスが癌に効くといっても、それは癌に特化した薬用キノコというわけではないのです。体の免疫力を賦活した結果、癌に対する抵抗力が増すという意味なのです。アガリクスの成分が癌細胞を攻撃するというわけではなく、体が本来持っている免疫力を効果的に発揮させることによって癌と戦う手助けをするのです。人間の体では日々新たな癌細胞が発生し、免疫機構によって消滅しています。免疫力が衰え発生した癌細胞を見逃すようになると癌になってしまいます。アガリクスは免疫力を高めることによって癌細胞の増殖を抑制することができると考えられています。ただし動物実験では癌に効くというデータが出ているようですが、人間では体験談の域を出ていません。
アガリクスは昼と夜の温度差が激しく湿度が高い特殊な条件下でしか自生せず、人工栽培が難しい幻のキノコでした。非常に高価でした。しかし現在では人工栽培が可能になっています。価格もぐっと下がりました。
