笠間市のキノコ農家、田村仁久郎さん(78)が生産し、JR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島」でも食材として使われている「ジャンボしいたけ」。この栽培法を改良し、笠と軸が一体となった球のようなシイタケができた。市の「地域おこし協力隊」の支援もあり、「宝珠茸(ほうじゅたけ)」の名で売り出すことになった。希少で、味も食感も大変良いという。
宝珠茸は、大きなものは、大人の男性のこぶしを上回り、150グラムから200グラム近くある。昨秋、笠間市農業公社が東京都内の百貨店で試験販売したところ、好評だったという。栽培歴60年の田村さんは「シイタケは軸にうまみが凝縮されている。全てが軸のようなこのシイタケのおいしさは抜群」と太鼓判を押すが、収量は少ない。
この希少価値に注目したのが、大手広告会社で商品の販売企画などに携わっていた、笠間市地域おこし協力隊の柳澤明さん(59)だ。田村さんのシイタケに寄せる気持ちをくみ取り、「宝のたま」のようなシイタケという思いを込めて、宝珠茸と命名。パッケージにも高級感を漂わせ、黒地に金粉を施したような箱に、金色の文字で「茸匠(たけしょう)たむら 宝珠茸」と入れた。経験を生かし、販路の開拓にも全面協力する考えだ。
田村さんは「おいしさを追求して完成したのが『宝珠茸』。もっと大きな宝珠茸を安定的に収穫できるように栽培法の改良を続けていく」と話している。