馬路村の「うまじのパン屋」の愛犬きなこ(メス、生後2カ月)が雑木林で見つけた謎のキノコ。においや形から「トリュフでは?」と村で評判だったが、遺伝子解析の結果、いわゆる食用の「黒トリュフ」だったことが判明した。
県中央西林業事務所の荒尾正剛さんが外部機関に遺伝子解析を依頼した。荒尾さんは、マツタケの人工栽培の研究に取り組んだ経験があり、日本特用林産振興会のきのこアドバイザーでもある。
解析の結果、キノコはイボセイヨウショウロの一種で、その中でも「黒トリュフ」と一般に呼ばれているものと遺伝子が一致した。今回は「Tuber sp.7」「同sp.6」の2種の黒トリュフで、同じ場所から2種類が発見された事例は珍しいという。
西欧では黒トリュフを栽培した例があるといい、荒尾さんは「高知産黒トリュフを生産することも夢ではない」と期待を寄せる。「輸入ものはどうしても輸送や検疫の関係で時間がかかるけど、国内産ならフレッシュで価値がある」
イボセイヨウショウロは、主に広葉樹の木の根に共生する「菌根」が、梅雨明けごろに幼菌をつくり、12月ごろに胞子を包むキノコ(子実体)となる。成熟すると特有の匂いが発生する。